訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 とは言えパイロットとGSはそんなに接点がない。
 こんな風に会うことはほぼないはずだ。そう思いたかった。


「叶空! 迎えに来たよ!」
「まま〜!!」


 叶空をぎゅうっと抱きしめる。叶空の顔を見ただけで癒される。


「あのね、まま。とあ、おともだちできたよ!」
「えっ本当に!?」
「そうなんです。叶空くんたらもうお友達と仲良く遊んでいたんですよ」


 先生もニコニコしながらそう言った。


「良かったねぇ」
「たのしかった!」


 初めての託児所で不安もあったが、杞憂だったようだ。
 思えばあまり同年代の子どもと遊ぶ機会がなく、いつも一人で遊ぶか陽鞠が遊び相手になるしかなかった。


「とあ、ぱいろとになる」
「えっ、パイロット?」


 ドキッとして思わず聞き返してしまう。


「まーくんのぱぱ、ぱいろとなんだって。ひこーきのるしと、とあもなりたい」
「……そっかぁ。叶空ならなれるよ」
「ほんと?」


 叶空はキラキラと瞳を輝かせていた。
 これは運命なんだろうかと思ったりした。本当のことは知らなくても、叶空はあの人の子なんだなぁと思う。
 胸の奥がきゅうっと切なくなる。


「まーくんねぇ、ぱぱとゆうえんちいくの」
「そうなんだ」
「とあ、ぱぱとあそんだことない」
「……ごめんね」


 やっぱり叶空に寂しい思いをさせているのだと思うと申し訳なかった。


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