訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


「ゆうえんちにね、おっきなひこーきあるってゆってた。とあものりたい」
「じゃあ今度ママと行こっか」
「――飛行機が好きなの?」


 不意に話しかけられて振り向いた。
 その人物を見て陽鞠の心臓が止まりそうになる。


(永翔さん!? どうしてここに!?)


 戸惑う陽鞠をよそに、永翔はしゃがみ込んで叶空に視線を合わせ、優しく微笑みかけた。


「飛行機好き?」
「しゅき」
「そっか、嬉しいな」


 永翔はニコッと微笑み、優しく叶空の頭を撫でる。


「おじさんもね、飛行機が大好きなんだ」
「おいたんも?」
「あ、あのっ!」


 たまらなくなり陽鞠は割って入って声を上げる。


「どうしてあなたがここにいるんですか!?」
「もちろん君に会うためだよ――陽鞠」
「……っ!」


 名前を呼ばれただけでときめいてしまうのは、三年前から変わっていない。
 忘れたいのに、永翔に見つめられると忘れかけていたときめきが甦る。


「久しぶりだね」
「……お久しぶりです」


 すぐにでもここから立ち去らなければ。
 そう思うのに足が思うように動かない。


「この子、名前は?」
「……叶空です」
「どんな字を書くの?」
「叶えるに空でとあです……」
「そうか、良い名前だね」


 永翔は再び叶空の頭を撫でて優しく微笑む。


「おいたん、だーれ?」
「おじさんはパイロットだよ。飛行機を運転する人なんだ」
「ぱいろと!?」


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