訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
パイロットと聞いた瞬間に叶空の目の色が変わった。
おもちゃを与えられたようにキラキラと瞳を輝かせる。
「ははは、そんなに良い反応されると調子に乗っちゃうなぁ」
「ぱいろと!」
「叶空くんにこれをあげる」
そう言って差し出されたのは、飛行機の模型だった。
実際にRALで運行している機体をモデルに作られたもので、空港内の土産物屋で売っている。
「いいんですか?」
「もちろん」
「叶空、ありがとうは?」
「あいあと〜」
「偉いなぁ、叶空くんは。かわいくて何でも買ってあげたくなっちゃうよ」
「……っ」
二人のやり取りを見ていて陽鞠はうっかり泣きそうになってしまった。
それはずっと夢見ていた父と息子の姿だったから。
叶えられるはずがない夢を垣間見て、目頭が熱くなってしまう。
「叶空くん、明日も会いに行ってもいいかな?」
「おいたんくるの?」
「うん、叶空くんのママとお話がしたくて」
「ちょっ、何言ってるんですか!」
私は話すことなんてない、そう言おうとしたのだが。
「いいよ」
「ありがとう、叶空くん!」
「叶空……!」
「叶空くんがいいと言ってくれたんだから、いいよね」
有無を言わさず永翔はニッコリと微笑む。
あまりにもずるいと思った。
「絶対逃さないから」
「……っ!」