訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
その翌日、叶空を迎えに行くと本当に永翔が待っていた。
叶空は永翔に気づくとぽてぽてと駆け寄る。
「ぱいろとのおいたん」
「叶空くん、こんにちは。その飛行機、気に入ってくれた?」
「うん」
叶空は飛行機の模型をとても気に入り、昨日からずっと手離そうとしない。
「嬉しいなぁ。叶空くんはカッコいいパイロットになるだろうね」
「うん、なる」
「かわいいなぁ」
永翔は鼻の下を伸ばしてデレデレしながらわしゃわしゃと叶空の頭を撫でる。
その様子は本当の父親みたいだった。叶空が自分の子だとは知らないはずなのに。
「かわいいねぇ、叶空くん」
「ありがとうございます」
「陽鞠、良かったら一緒にご飯でもどう?」
「え……」
「叶空くんは何が食べたい?」
「はんばーぐ」
「ハンバーグか! ハンバーグの旨い店なら知ってるよ」
そう言うと永翔は一人でずんずん行ってしまう。
「ちょっと永翔さん!」
「ほら、行こう」
この少し強引なところは変わっていない。
叶空も「ハンバーグ、ハンバーグ」とせがむので仕方なくついて行くことにした。
「改めて、今まで陽鞠がどうしていたのか教えてよ」
「どうと言われましても……」
「あ、俺から話そうか? 俺はロサンゼルスで半年程研修留学をしてから帰国した。その際にRALに戻ったんだ」
「え、RALに戻った?」
「言ってなかったっけ? エアウイングには出向だったんだよ」