訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
「だって、ぱぱあそんでくれないもん……おいたんとあそぶもん……」
「叶空……」
「うわああああ……っ」
泣きじゃくる叶空を抱きしめて、ポンポンと背中を撫でる。
ただでさえ叶空にはきちんと話せていない。
叶空が傷つかないように、落ち着いてからちゃんと話すつもりでいた。
でも叶空はずっと傷ついていたのだ。
永翔と触れ合い、友達から父親との話を聞き、ますます父親という存在を欲するようになったのかもしれない。
「ごめん、ごめんね叶空……」
叶空に我慢ばかりさせて、酷い母親だと思った。
「叶空くん、おじさんで良ければ一緒に遊ぼう」
運転席から永翔は明るく言った。
「叶空くんが遊んでくれたらおじさんも嬉しいよ」
「……あそぶ」
「おじさん、飛行機で遠くまで行かないといけないけど、帰ってくるまで待っててくれる?」
「まってゆ」
いつの間にか叶空の涙は止まっていた。
「ありがとう。叶空くんと早く遊びたいから頑張るよ」
「うん」
アパートの前まで送ってもらい、車から降りてから陽鞠は深々と頭を下げた。
「本当にありがとうございました。叶空のことも」
「いやいや、俺の方こそ叶空くんと遊べるのは嬉しいよ。それと、これ」
永翔は一枚のメモ用紙を陽鞠に差し出す。
「俺の連絡先。一応渡しておくから何かあったら連絡して」