訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
GSとパイロットでは関わることがないし、雲の上の存在だ。アイドルを推すファンと同じような気持ちで永翔のことを遠くから見つめていた。
(赤瀬さんに会えるなんて、今日はラッキーだな)
今日は一日仕事が頑張れそう、そんな風に思える存在だった。
噂によると美人CAたちがこぞって彼の恋人を狙っているけれど、誰も相手にされないとか。
永翔とどうなりたいだとか考えたことはない。
美人CAでも相手にされないのに、地味で特に取り柄もない自分が彼の隣に並ぶなど、想像することすら烏滸がましい程だ。
人前に立つ仕事をする者として多少身なりには気を遣っているものの、いつ見ても鏡に映る自分の顔は地味で子どもっぽい。
昔から童顔で背が低いこともあり、幼く見られがちな自分の容姿がコンプレックスだった。
奥手で人見知りな性格から、二十六歳になった今でも恋愛経験はゼロ。
これは容姿以上に陽鞠の大きなコンプレックスだった。
女子校育ちの陽鞠はとにかく男性が苦手だった。
仕事ならまだしも、プライベートでは緊張して上手く話せない。女友達と一緒にいる方が気楽で楽しいと、つい楽な方に逃げてしまっていた。
その結果未だに恋人が一人もいたことがないという事態になってしまっていた。