訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。

三、揺れ動く想い



「さあ、どうぞ」
「お、お邪魔します……」
「ひろ〜い」


 陽鞠と叶空が連れて来られたのは永翔の住むタワーマンションの一室だった。
 大きな窓からは東京の夜景が一望できる見晴らしの良い部屋だ。

 一人で住むには広すぎるくらいの広々とした四LDKの部屋は流石だ。やはり永翔は住む世界の違う人だ、と気後れしてしまう。

 そもそも永翔の自宅に招かれたのは、あのまま自宅に戻るのは危険だと言われたからだ。
 ぐるりと一周して自宅に戻って欲しいと頼んだが、自宅を突き止められている以上は戻らない方が良いと言われた。

 それならホテルに泊まると言ったが叶空が安心できないだろうということで、複雑な思いもありつつ永翔に甘えることにしたのだった。
 実際叶空のことを思うなら、永翔の自宅にお邪魔して良かったと思った。

 既に棚に並べられた飛行機のフィギュアに釘付けになっている。


「ひこーき!」
「叶空、触っちゃダメよ。壊れちゃうからね。見るだけね」
「みゆ」
「見づらいよね、叶空くん。これなら見えるかな?」


 永翔は叶空を抱っこしてフィギュアを見せてくれた。
 叶空はきゃっきゃっとはしゃぎながら、飛行機のフィギュアに夢中になっている。

 やはりこうしていると二人は親子にしか見えないなぁと思った。


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