訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 親子、といえば。気になっていたのはあの時の言葉だ。
 叶空は俺の息子だと言っていたあの真意は何なのだろうか。どこで気づいたのだろうか。

 もしかして叶空が淪太郎の子ではないと言った言葉を聞いていたのかもしれない。


(どうして永翔さんは戻って来てくれたんだろう?)


 永翔に聞きたいことは山程あった。





「すみません、ベッドを貸していただいて」
「いや、よく眠れているなら良かった」


 飛行機のフィギュアを見てはしゃいでいた叶空だが、その後は案外すぐに寝てしまった。
 色んなことがあって疲れていたのだろう。広すぎるダブルベッドの上に寝かせてもらった。


「陽鞠も一緒にベッド使って。俺はソファで寝るから」
「そんな、申し訳ないです」
「朝起きてママがいなかったら叶空くんが寂しがるでしょ」
「……、ありがとうございます」


 何から何まで甘えてばかりで申し訳ないと思った。
 そして意を決して尋ねてみることにした。


「あの、永翔さん。どうしてあの時来てくださったんですか?」
「――ああ」


 永翔は照れ臭そうな、少し気まずそうにも見える複雑な表情を浮かべた後、腹を括ったのか陽鞠を真っ直ぐ見つめる。


「なんていうかその、ちゃんと部屋に入ったか気になってしまって」


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