訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
ようやく少し落ち着いてきた陽鞠に永翔はハンカチを差し出してくれる。
有り難く受け取って涙を拭いながら、まだ涙声のままお礼を言う。
「ありがとうございました……永翔さんが来てくれなかったら、どうなっていたか」
「陽鞠のピンチに現れたヒーローみたいだった?」
「自分で言います? 確かにヒーローでしたけど」
「ははっ」
永翔がおどけて笑うのでついつられて笑ってしまった。
そして改めてこの質問をぶつけてみる。
「叶空が夫の子じゃないって聞こえてたんですか?」
「いや」
「えっ、違うんですか? それなら、どうして……」
「あれはハッタリみたいなものかな。旦那の顔を見た時、直感で叶空くんとは血が繋がってないんじゃないかと思った。だから俺が父親だと言って揺さぶったらあの反応、それで確信したよ」
ハッタリで言ったとは思っておらず、驚いた。
でも確かに納得してしまう。叶空と淪太郎は全く似ていない。血の繋がりがないから当然なのだが、本当の親子じゃないと気づいてもおかしくはないと思った。
「それからこっちも確信した。やっぱり叶空くんは俺の子なんだね」
「……はい」
もう隠し通せないと思った。
永翔と別れてから生まれた男の子、よく似た顔立ち、飛行機が大好きなところ。
淪太郎の子ではないということは、叶空の本当の父親は誰なのか。
答えははっきりしている。