訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
「う、嘘です……」
だがこの言葉を受け取るわけにはいかない。
陽鞠は永翔から視線を逸らす。
「永翔さんが私を好きだなんて……」
「本当だよ。あの時想いが通じ合って付き合っていたと思っていたのに」
「ええっ!? 遊ばれてたと思ってました」
「心外だな。本気で好きな人にしか興味ないのに」
直球すぎる言葉が陽鞠の心を震わせる。
そんな風に思われていたなんて知らなかった。全身が熱くなるのを感じる。
「だからあの時フラれたんだと思った。すごくショックだけど仕事に集中して忘れようとしていたんだ。でも忘れられなかった。三年間ずっと陽鞠のことが忘れられなかった」
「っ!」
陽鞠が心から愛した人は永翔だけだった。
結婚した当初はいつか忘れられるだろうと思っていた。
こんな想いを抱き続ける自分はなんて痛々しい女だと思っていたのに。
「……ダメです。永翔さんの気持ちには応えられません」
「でも離婚するんだよね?」
「離婚はします。でも、私は叶空を一人で育てるつもりです」
「どうして?」
「私は永翔さんに相応しくありませんっ」
どんなに愛していても、いや愛しているからこそダメだ。
利害のために好きでもない人と結婚するような女が永翔の傍にいてはいけない。
これ以上永翔の優しさに甘えるわけにはいかない。