訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
「それから、しばらくこの家にいた方がいいと思う」
「ええっ? そんなのできません」
「でもまた旦那が家に来るかもしれないじゃないか。俺は明日からローマでしばらく家を空けるし、心配なんだよ」
「それでも家主不在の家に子どもとお邪魔するなんてできません」
「うーん、それもそうか」
永翔は思案顔をしたが、「わかった」と頷いた。
口ではわかったと言いつつ、顔は納得していなさそうだったが。
「帰って来たら連絡する」
「はい」
「何かあったらすぐに飛んで行きたいけど」
「大丈夫です。本当に今日はありがとうございました」
陽鞠は深々と頭を下げた。
それから永翔に甘えさせてもらい、叶空の隣で寝かせてもらうことにした。
ふかふかの上質なベッドはすぐに陽鞠を眠りへと誘った。
眠る直前、陽鞠は先程の永翔の告白を思い返す。
好きな人にあれだけ真っ直ぐに想いを伝えられ、嬉しくないわけがない。
叶空と三人で家族になれたら、どんなに幸せだろう。
永翔の優しさに甘えてばかりではダメだという気持ちもあるのに、甘えてしまいたいという相反する気持ちが陽鞠の胸中を渦巻いていた。
この行き場のない思いはどうすれば良いのだろう。
そんなことを考えながら、いつの間にか眠りについていた。