訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
陽鞠は永翔が初めて最初から結婚を意識した女性だった。
彼女のことを知ったのは、エアウイングに出向していた頃。その日のフライトには叔母が搭乗することになっていた。
普段から慌て者の叔母が無事にチェックインできるか心配で、何となく様子を見に行ったら案の定カウンターでスタッフをずっと質問攻めにしていた。
叔母に手を焼いているだろうと話しかけようと思ったが、対応している女性スタッフがとても冷静だったので成り行きを見守ることにした。
明らかに慌てて動揺している叔母に対し、落ち着いて話を聞いている。
時折叔母に質問を投げかけ、早口で喋る叔母の言葉をきちんとメモしていた。
「少々お待ちください」と電話をかけ、その後に「ございましたよ」と柔らかく微笑んだ。
後で聞いた話だが、どうやら叔母は叔父からプレゼントされた腕時計をどこかに置き忘れてしまったらしい。
あれがなければ帰れないと半ばパニック気味になっていた叔母を落ち着かせ、要領を得ない叔母の話から汲み取り、丁寧な対応で見事に見つけ出してくれたのだった。
叔母はとても感激していた。
永翔自身もそのスタッフの冷静な対応力、細やかなホスピタリティ、そしてどの客に対しても「いってらっしゃいませ」と華やかな笑顔で送り出しているところにとても好感を持った。
後からこっそりネームプレートを盗み見て、彼女の名が「水鏡陽鞠」だと知った。