訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
それから毎日連絡を取り合い、限られた時間の中で二人で会い、永翔は付き合っているつもりでいた。
だが今思えば、肝心の告白を一度もしていなかった。
恋愛に奥手な陽鞠が不安に思っても無理はない。
再会してから陽鞠に付き合っていたという感覚がなかったと言われ、言葉足らずだった自分を殴り飛ばしたくなった。
あの時ちゃんと言葉にして伝えられていたら何かが変わっていたのか。
過ぎたことを言っても仕方ないし、既に後の祭りだ。
陽鞠が結婚していたと知って少なからずショックを受けたが、その結婚生活がどうやら順調なものではないと何となく察し、あの現場を目撃したら黙って見ているなんてできなかった。
未練がましい自分が情けない、気持ち悪いと思っていたがなりふり構っていられない。
陽鞠と叶空を守るため、何でもしようと思った。
「もしもし、永翔だけど。実は頼みがあるんだ」
永翔は自室に戻って一本の電話をかけた。
「うん、うん、わかってる。よろしく頼む」
通話を終え、そのままベッドに大の字に倒れ込んだ。
明日からまた日本を離れることになり、陽鞠たちの傍にいられないことを歯痒く思う。
帰国してからもう一度ちゃんと陽鞠と話したいと思った。
今すぐには無理でもいい、いくらでも待つしいくらでも待てる。
今度は二度と陽鞠と離れない。何があっても絶対に守り抜いてみせると心に誓う。
そして、これからもずっと彼女の傍にいたいと強く願った。