訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 永翔が本当の父だと知ったら、叶空はどう思うのだろうか。
 まだ幼い叶空がどこまで理解できるのかもわからないし、どうしてあげるのが叶空にとって一番良いのかずっと考えている。


「まーくん、ぱぱとどうつぶえんいくってゆってた」
「動物園?」
「うん、ぞうさんがいるんだって」
「……ねぇ叶空、」
「あーーっ!!」


 急に叶空が大声をあげ、繋いでいた手を離して駆け出す。
 叶空が向かった直線の先には、笑顔を浮かべる永翔が両手を広げて待っていた。


「ぱいろとのおいたん!!」
「叶空くん、ただいま!」


 永翔は叶空を抱きしめ、そのままぐるぐると回る。
 叶空はきゃっきゃっと笑顔ではしゃいでいた。


「おかえり」
「ただいま! あー癒される〜」


 叶空のことをぎゅうっと抱きしめる永翔は甘々にとろけていた。


「永翔さん、お帰りなさい」
「ただいま、陽鞠」


 お帰りとただいまを言い合うだけで、心がときめく。
 叶空に向ける笑顔はでれっとした甘々な笑顔だが、陽鞠に向ける笑顔は愛おしむかのように優しい。

 目を合わせているだけで鼓動が止まらない。
 母になってからこんな感覚になることはないと思っていた。
 だが永翔を前にすると、どうしても惹かれる気持ちが抑えられない。


「叶空くんにプレゼントがあるんだけど、大きくてどうしても持てないんだ。良かったらまた僕の家に遊びに来てくれる?」
「いく!」
「陽鞠もいいかな?」
「えっ? えっと、はい」


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