訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
陽鞠はなるほどな、と思った。
いつでも家に呼べるように大きなくまのぬいぐるみを買ってくれたのだろうと思った。
(でも、嫌じゃないんだよね)
多分永翔は陽鞠と叶空に向き合おうとしてくれている。
一緒にいたいと思ってくれている。
その真っ直ぐな気持ちがわかるから、嬉しいと思ってしまう。決意が揺らいでしまいそうになる。
(やっぱり永翔さんが好き)
何故だか泣きそうになってしまった。
自分でも何の涙かわからず、堪えるのに必死だ。急に泣き出したら叶空も永翔も驚くし戸惑うだろうから、必死に堪えた。
その後は一緒に夕食を食べた。
まさかの永翔が手料理を振る舞ってくれた。帰国したばかりで疲れているだろうに、叶空と陽鞠のために美味しい手料理をご馳走してくれた。
叶空のためにオムライスの上にケチャップで何かを描いてくれたが、なんだかよくわからない。
永翔曰く犬らしいが、お世辞にも犬には見えなくて笑ってしまう。
そんな団らんをしながらの食事はとても楽しかった。
「叶空、寝ちゃったみたい」
はしゃぎすぎたのか、叶空は完全に寝落ちてしまう。
抱っこして連れ帰ろうとしたら永翔が止めた。
「泊まっていきなよ」
「え、でも」
「俺は陽鞠にもっといて欲しいんだけど、ダメかな?」
そんな言い方はずるいと思った。
「じゃあ……お世話になります」