訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
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事が終わってもしばらく後ろから永翔に抱きしめられたままだった。
まどろむ意識の中、陽鞠は幸せを噛み締める。
本当はずっとこうしていたかった。
もう自分の気持ちは隠せない。
「陽鞠、一緒に住もう」
「えっ」
されるがままに抱きしめられていたが、思わず顔を永翔の方に向ける。
「もっと一緒にいたい」
振り向いた陽鞠の頬を愛おしそうに撫でる永翔。
「……私も、永翔さんと一緒にいたい」
「陽鞠……」
「あの、本当にいいんですか? 私で……」
陽鞠は一度大きな失敗をしてしまった。
今でもこんな自分が永翔と一緒にいてもいいのか、という不安がある。自分といることで永翔に迷惑がかかるかもしれない。
だが永翔は陽鞠を抱き寄せ、腕の中に閉じ込めた。
「何度も言ったでしょう? 陽鞠じゃないとダメなんだ」
「永翔さん……でも、私のせいで永翔さんに迷惑がかかるかも」
「大丈夫だよ。実は悪いと思ったけど、色々と調べさせてもらった」
そう言われて陽鞠は思わず顔を上げる。
「陽鞠の元旦那の実家のこととか、色々ね」
「そうだったんですね……」
「今までつらかったね」
永翔は優しく慈しむように陽鞠の頭を撫でる。
「父親になると自分で言っておきながら、父の役目も夫の役目も果たしていなかった。まるで陽鞠を小間使いのように扱って、それでも耐えて叶空くんのことを守っていた陽鞠はよく頑張ったと思う」
「っ、う……っ」
「これからは俺に守らせて」