訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 永翔に抱きしめられ、優しい言葉にポロポロと涙がこぼれる。


「陽鞠にも叶空くんにも指一本触れさせない」
「永翔さん……っ」


 永翔にぎゅうっとしがみつくと、強くも優しく抱きしめ返してくれる。額には触れるだけの口付けが落とされる。


「んっ、あ……っ」


 額に触れた唇は、頬に耳朶にと段々下へ移動していく。耳朶を甘噛みされたり、首筋を何度も吸われたり。
 二人の視線が交わると、引き寄せられるように唇を重ね合う。


「んっ、ふ……っ」


 すぐに舌を差し込まれて絡め取られる。先程まではされるがままに彼の唇を享受していたが、今度は陽鞠も自ら舌を絡めにいった。


「……ダメだ」


 ぼそりと呟いたかと思うと、陽鞠を押し倒してあっという間に覆い被さる。
 陽鞠を見下ろす瞳はあまりにも扇情的な色気に満ち溢れていた。


「明日は早番?」
「遅番ですけど……」
「それじゃあもう少しだけいいよね」
「あっ」


 先程よりももっと激しく、唇を奪われる。
 あんなにも愛し合ったばかりなのに、既に永翔を求めてしまっている自分がいる。


「愛してる、陽鞠」
「私も……」


 再び彼から与えられる熱は陽鞠の全身をめぐり、身も心もとろとろに蕩けてしまう。
 快感の波に押し流されながら、陽鞠は意識を手放した。


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