訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
「入って」
中から凛とした女性の声が聞こえた。
ドアを開けると、そこに立っていたのはブランド品と思われるスーツをカッコよく着こなした、ロングヘアの女性だった。
かなり美人だが、容姿というより佇まいや内から溢れ出るオーラに圧倒されてしまう。
「来てくれてありがとう。RALの副社長を務めています、六条有紗です」
「あっ、あのっ、水鏡陽鞠と申しますっ」
「話は聞いているわ、水鏡さん。入社して間もないのに即戦力の優秀なGSだそうね」
「いえ、とんでもございません……」
一瞬にして喉がカラカラになった。永翔の姉であり、RALの副社長でもある有紗を前にして緊張どころではない。
「永翔!」
「えっ……おばさん?」
「有紗に聞いて私も来ちゃった! ねぇ、私のこと覚えているかしら?」
副社長室にはもう一人女性がいた。
華やかで上品なワンピースに身を包んだ中年の女性だった。その人の顔には見覚えがあった。
エアウイングにいた頃、陽鞠が接客したことがある。
「もしかして、伊藤様……ですか?」
「まあ嬉しい! 覚えていてくれたのね!」
彼女のことは特に印象に残っている。
夫にプレゼントしてもらった腕時計をなくし、陽鞠が対応した。後に永翔の叔母だと知った時は驚いた。
「改めて伊藤マチ子といいます。永翔の叔母よ。よろしくね」
「よろしくお願いします」
「おばさんがなんでここに?」