訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。


 パパが操縦している飛行機に乗っているということで叶空は既に楽しそうだった。その手にはいつもの飛行機をしっかりと握りしめている。


「赤瀬様。ビジネスクラスを担当しております、キャビンアテンダントの白金(しろがね)と申します。何かございましたら何なりとお申し付けくださいませ」
「あ、ありがとうございます。おねえさ……副社長から伺っております」


 白金は有紗の同期で優秀なCAであり、若くして国際線のリーダーとなったそうだ。
 彼女がいれば大丈夫、と有紗にも太鼓判を押されていた。


「私もRALの社員ですから、気楽に接してください」
「そういうわけには参りません。今は大事なお客様ですから。副社長にも仰せつかっておりますので」


 そう言い切った白金は、この仕事に対する高いプライドを感じた。
 ピンと伸びた背筋がとても凛々しく頼もしく感じる。

 自分の仕事に誇りを持って向き合う姿勢は陽鞠もよくわかるので、頷いた。


「わかりました。白金さん、よろしくお願いします」
「素敵な空の旅となりますよう、全力でサポート致しますね」


 白金はそうニッコリと微笑んだ。

 それからの旅はとても快適だった。叶空はキッズ向けの映画や番組を見たり、持ってきた絵本を読んだりしていた。
 眠くなったら寝てくれるし、案外ぐずることなく飛行機を楽しんでいるようだ。


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