訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
「えっと永翔さん、コックピットに入っても良かったんですか?」
「陽鞠も社員だしまあいいかなって。白金主任の監視付きだしね」
すぐ後ろでは白金が背筋を正して見つめている。目を光らせているとは正にこのことだ。
「この操縦席からの景色を、どうしても叶空に見せてあげたかったんだ」
「わあ……!」
白金からの許可で、叶空を抱っこするのなら操縦席に近づいても良いと言われた。
叶空を抱っこして操縦席に近付くと、目の前には見たこともない星空が広がっていた。
天の川と思われる星の道をこんなにも間近で見られることなんてない。
星の輝きも普段見ているものとは段違いに感じたのは、空が近いからだろうか。
「見て、叶空。綺麗だねぇ」
「おほしたま」
「うん、お星様いっぱいだよ」
「あー、はんどる」
「あっ! ダメだって叶空」
しかし叶空は星空よりも操縦席の方が気になるようだ。手を伸ばそうとするので慌てて後ずさる。
「おもちゃじゃないからね」
「う~~」
「ごめんな、叶空。安全に飛行機が飛べるようにパパ頑張ってるから。叶空が応援してくれたら嬉しいな」
「ぱぱ、がんばえー」
「ありがとう」
コーパイの鷹宮に「デレデレですね」なんて言われてからかわれていた。
コックピットに入らせてもらったのは五分にも満たない短い時間だったが、とても貴重な経験だった。
何より陽鞠は、永翔が操縦している姿を間近で見られたことが嬉しかった。
本音を言えば、満点の星空よりも見られて嬉しかった。