訳アリママですが、敏腕パイロットに息子ごと深愛を注がれています。
かなり切羽詰まった様子で時計の落とし物が届いていないかと尋ねてきた。
夫がプレゼントしてくれた一点ものの腕時計なのだという。
「あの女性、実は俺の叔母だったんだ」
「えっ!? そうだったんですか?」
「あの時計は結婚記念日に叔父がプレゼントしてくれたものだと昔から自慢していてね。その大事な時計をなくしてパニクっていた叔母に冷静に色々質問して、親身になって聞いて見事に見つけ出してくれたそうじゃないか」
「そんなこともありましたね」
「叔母はとても感謝していたよ。冷静でとても優秀なスタッフだったって。叔母に代わってありがとう」
「いえ、そんな! 当然のことをしたまでです」
涙目になりながら何度もお礼を言われ、心から見つけ出せて良かったと思った。
これで安心して飛び立てると喜んでもらえた。
「結婚相手にはああいう子を選びなさいとも言われたな」
「ええっ!?」
「でも、俺もずっと君のことが気になっていた。ずっと話してみたいと思っていたんだ」
「――っ」
全女性社員憧れの的である永翔に、真っ直ぐ見つめられてそんな風に言われたら、嫌でも期待してしまう。
名前すら知られていないと思っていたのに、自分のことを認識して気にかけてくれていたなんて夢にも思わなかった。
「だからあの時君を見かけて、運命だなって思った」
「そんなこと……誰にでも言ってるんですか?」
「誰にでも言うように見える?」