遣らずの雨 上
誰も居ないこの空間で、やましいことは
していなくても、上司と部下が手を
握り合っていたらおかしなことだ。
誰かが来る前に離れないと‥‥
『どうしてそこで宮川の名前が
出て来るのか教えて?』
「どうしてって‥‥」
ガチャ
『酒向さぁん!いらっしゃいますか?
岐阜支店の長谷川さんから至急
お電話欲しいそうです。』
『成瀬さんありがとう、すぐ
戻ります。わざわざありがとう。』
『えーそんなぁ。嬉しいです。』
立ち上がった酒向さんが、入り口の
方に向かったので、両手で口元を
押さえ静かにしていた
成瀬さんが来てくれて‥助かった‥‥‥
2人が出て行った音を確認すると、
胸が一気に苦しくなり、呼吸を
整えようとゆっくり深呼吸をする。
なんでここに来たのだろう‥‥。
顔色なんて悪くないし、酒向さんが
わざわざ心配して来るほどのことでは
ないはず。
もう私なんかに構わないで欲しい‥‥。
呼吸を整えながら資料を元に戻すと、
保管庫から出て部署に戻った。
「戻りました。」
普通にしてないとおかしいから、
いつも通りの感じでデスクに戻り、
途中だったデザインの続きを始めた
良かった‥‥。
成瀬さんにもバレていないし、
酒向さんも宮川さんと何かを話しながら
仕事をしてる‥‥。
今日は捕まらないように、仕事を
終わらせて定時で上がろう。
佐藤さんと相談しながら仕事をこなし、
合間にメールやメッセージのチェックを
しながらなんとかその日の分は
終わらせることが出来た。
「‥‥酒向さん、今朝見ていただいた
デザインの修正です。
お時間ある時にまたお願いします。
お疲れ様でした。」
ファイルをまた差し出すと、
目を合わすことが出来ず俯いたまま
頭を下げる
あんな事があっても、仕事は仕事だ。
酒向さんのチェックが通らないと、
どうしようもないから、こればかりは
避けて通れない。
『新名さん、今日少しだけ時間いい?』
「えっ?‥‥あ‥‥‥今日はちょっと
‥‥都合が悪いです。」
本当は用事なんて何もないし、
ただ早く帰りたくて仕事を終わらせた
までだ。
『分かった。夜に電話するよ。
急ぎで確認したい事があるからね。』
電話!?
あまりに驚いて顔を上げると、
いつもの優しい顔ではなく、真顔で
見上げる綺麗な顔にビクっと震える
していなくても、上司と部下が手を
握り合っていたらおかしなことだ。
誰かが来る前に離れないと‥‥
『どうしてそこで宮川の名前が
出て来るのか教えて?』
「どうしてって‥‥」
ガチャ
『酒向さぁん!いらっしゃいますか?
岐阜支店の長谷川さんから至急
お電話欲しいそうです。』
『成瀬さんありがとう、すぐ
戻ります。わざわざありがとう。』
『えーそんなぁ。嬉しいです。』
立ち上がった酒向さんが、入り口の
方に向かったので、両手で口元を
押さえ静かにしていた
成瀬さんが来てくれて‥助かった‥‥‥
2人が出て行った音を確認すると、
胸が一気に苦しくなり、呼吸を
整えようとゆっくり深呼吸をする。
なんでここに来たのだろう‥‥。
顔色なんて悪くないし、酒向さんが
わざわざ心配して来るほどのことでは
ないはず。
もう私なんかに構わないで欲しい‥‥。
呼吸を整えながら資料を元に戻すと、
保管庫から出て部署に戻った。
「戻りました。」
普通にしてないとおかしいから、
いつも通りの感じでデスクに戻り、
途中だったデザインの続きを始めた
良かった‥‥。
成瀬さんにもバレていないし、
酒向さんも宮川さんと何かを話しながら
仕事をしてる‥‥。
今日は捕まらないように、仕事を
終わらせて定時で上がろう。
佐藤さんと相談しながら仕事をこなし、
合間にメールやメッセージのチェックを
しながらなんとかその日の分は
終わらせることが出来た。
「‥‥酒向さん、今朝見ていただいた
デザインの修正です。
お時間ある時にまたお願いします。
お疲れ様でした。」
ファイルをまた差し出すと、
目を合わすことが出来ず俯いたまま
頭を下げる
あんな事があっても、仕事は仕事だ。
酒向さんのチェックが通らないと、
どうしようもないから、こればかりは
避けて通れない。
『新名さん、今日少しだけ時間いい?』
「えっ?‥‥あ‥‥‥今日はちょっと
‥‥都合が悪いです。」
本当は用事なんて何もないし、
ただ早く帰りたくて仕事を終わらせた
までだ。
『分かった。夜に電話するよ。
急ぎで確認したい事があるからね。』
電話!?
あまりに驚いて顔を上げると、
いつもの優しい顔ではなく、真顔で
見上げる綺麗な顔にビクっと震える