獅子の皮を被った子猫の逃走劇
はじまり side . R
「ただいまー」
「邪魔する」
俺は今何故か、後輩の家にいる。
変なとこだけ押しの強い後輩、桜庭獅音に半ば強引に家に引っ張り込まれた。
自分の家の中だろうに、ここでもないそこでもないと、ちょこまか動き回っている獅音の横顔を見ながら思い出す。
……こいつは本当に変なやつだ。
思えば、最初から変だった。
入学式、俺ら幹部は新入生に調子づかせないように、一通り暴れた。
今年は手応えない奴ばっかだったと苛立ちながら、朔と歩いていれば倒れているトップがそこにいた。
周りが一気にざわめいて、誰がやったのかと話し始めた。
俺も、おそらく朔も気になって近づいてみれば、そこにいたのはちっさい男で。
――こんなチビにやられたのかよ。
力だけは誰にも負けねえって思ってここに来た日に、俺はあのトップにコテンパンにされたのに。
俺よりもそのチビが優れているという事実が、どうにも納得できなくて。
黒い笑顔を浮かべる朔の隣で、ひたすらにチビと目を合わせないようにしていた。
「邪魔する」
俺は今何故か、後輩の家にいる。
変なとこだけ押しの強い後輩、桜庭獅音に半ば強引に家に引っ張り込まれた。
自分の家の中だろうに、ここでもないそこでもないと、ちょこまか動き回っている獅音の横顔を見ながら思い出す。
……こいつは本当に変なやつだ。
思えば、最初から変だった。
入学式、俺ら幹部は新入生に調子づかせないように、一通り暴れた。
今年は手応えない奴ばっかだったと苛立ちながら、朔と歩いていれば倒れているトップがそこにいた。
周りが一気にざわめいて、誰がやったのかと話し始めた。
俺も、おそらく朔も気になって近づいてみれば、そこにいたのはちっさい男で。
――こんなチビにやられたのかよ。
力だけは誰にも負けねえって思ってここに来た日に、俺はあのトップにコテンパンにされたのに。
俺よりもそのチビが優れているという事実が、どうにも納得できなくて。
黒い笑顔を浮かべる朔の隣で、ひたすらにチビと目を合わせないようにしていた。