獅子の皮を被った子猫の逃走劇
学校の帰り道。
ここ数日、秘密を打ち明けたことをきっかけに、希良ちゃんとより仲良くなって一緒に登下校をする程の仲になった。
「獅音くん、ばいばーい!またね!」
「うん、またあしたー!」
梅雨は明けて、今はもう夕方に近い時間帯だというのに太陽が皮膚を焦がそうと躍起になっている。
暦上で言えば、たしか夏至とかそこら辺。
そんな天気だから、足早に家に帰った。
そしたら、あった。
何がって?
ポストに例のアレが。
またかー、と思いながら丁寧に糊付けされている白地の封筒を開けてみると、
「え……」
封筒の中に紙が入ってるのはいつもと変わらない。
けど、今日は何やら厚紙のような硬い感触の物があった。
不思議に思い、取り出して確認するとあったのは、文字がプリントされた紙と洗濯物を干している"いつもの"私の写真。
紙には、"桜庭 獅音は女"との文字が。
いつ?どこで?誰が?
どこまで私のことを見ているの?
言いようのない恐怖が背中をなぞった。