【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「さっきサラハに近寄られた時か……。ルフィナにとってアルゥの香りは、サラハを思い出させるということだな。すまない、ルフィナ。そうとは知らず、きみにアルゥを食べさせようとしたなんて。俺は、なんて酷いことを」

「ごめんなさい、果実に罪はないと分かっているのに、匂いを嗅ぐだけで吐きそうになってしまって……」

 身体が離れたことで匂いはしなくなったので、吐き気はましになった。それでも口元を押さえたままのルフィナを見て、カミルはがばりと身体を起こすと立ち上がった。

「シャワーを浴びてくる。もう二度と、きみにアルゥの匂いを嗅がせるようなことはしないと誓うから、待ってて」

「え、あ……はい」

 ルフィナの手を引き寄せ、手の甲に口づけをして、カミルは浴室へと消えた。

 ◇

 あっという間に戻ってきたカミルは、まだ少し濡れた髪をタオルで拭きながら足早に近づいてくる。ベッドの上に座って彼を待っていたルフィナは、湯上がりのカミルの色気に当てられそうになっていた。
 濡れていつもより更に濃さを増した金の髪が首筋に貼りついているところも、ぽたりと雫がはだけたガウンの胸元に垂れるのも、なまめかしくて目が離せない。

「どうかな、もう匂いはしない?」

 そっと包み込むようにルフィナを抱きしめて、カミルが囁く。恐る恐るすんと鼻を鳴らしたルフィナは、こくりとうなずいて彼の背に手を回した。
 良かったと笑ったカミルが、ゆっくりとルフィナの身体をベッドの上に押し倒した。いよいよカミルに抱かれるのだと思うと、口から心臓が飛び出してきそうなほどにドキドキする。
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