【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 カミルの手がルフィナのガウンの腰紐を解き、微かな衣擦れの音と共に彼の目の前に下着姿が晒される。
 羞恥に思わず顔を隠そうと横を向くと、カミルの手がそっとそれを止めた。

「ルフィナ、こっちを見て」

「っカミル様」

「すごく、綺麗だ。ルフィナを最初に見た時、本当に妖精みたいだと思った。こんな綺麗で可愛い子と結婚できるなんて嬉しいって思ったよ。もちろんそれだけじゃなくて、きみの心の強さに惹かれたのが一番だけど」

 蕩けそうなほどに甘い笑みを浮かべながら、カミルが出会った時のことを語る。カミル以外の結婚相手の候補に親子以上に年の離れた大臣がいたことも知っており、他の男に渡さないためにすぐにアルデイルに連れ帰ることにしたんだと彼は笑った。
 ルフィナはカミルの方に手を伸ばすと、丸い耳にそっと触れた。その瞬間ぴくりと動く耳は、ふわふわで柔らかい。大人っぽくてかっこいいカミルだが、この耳だけはとても可愛いと思う。

「私も……カミル様のこのお耳も尻尾もすごく素敵だと思ったし、優しくてあたたかくて、まるで太陽のような人だと思いました。カミル様の妻になれて、本当に嬉しく思っています」

「うん、俺もすごく嬉しい」

 そう言って笑ったカミルが、顔を近づけてくる。キスの予感に目を閉じれば、柔らかく唇が重なった。
 

「ん……ぁ」

 どんどん深まる口づけに夢中になっていると、カミルの手が胸元に触れた。いつの間にかガウンは脱いでしまっていて、肌の上を直接指先がなぞる。胸の中央部分でリボンを結んでいるだけだった下着も、あっという間に役目を終えてシーツの上に落ちた。
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