【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 眉を顰めたカミルが、ルフィナの言葉を封じるようにキスをした。まだ鈍い痛みは続いているし、圧迫感で苦しいほどだけど、甘く優しいキスに夢中になっているうちにそれもだんだんと気にならなくなってくる。

「ふ……ぁ、この状態でキスをするのって、すごくいいですね。カミル様とひとつに溶けあってるみたい」

「あぁもう、またそうやって無自覚に煽る」

 何故か怒ったようにつぶやいたカミルが、ルフィナの身体を強く抱きしめた。
 

 もっとくっつきたくて抱きついたルフィナは、目の前にカミルの首筋があることに気づいた。同時に思い出すのは、サラハが言っていた、獣人族のつがいのこと。

――わたくしたち獣人は、つがいを抱く時には逃さないようにという本能から首筋を噛むのです。

 サラハの言うことが、嘘である可能性もある。彼女はルフィナに色々な嘘を吹き込んでいたから。

 だけど、なんとなくこれだけは本当のことなような気がした。だって、確かにカミルを逃したくないと、離れたくないとルフィナも思うから。
 獣人族でないルフィナが、カミルのつがいになれるかは分からない。それでも、彼と離れたくない。

――私にとってのつがいは、カミル様だもの。この愛しい人は私だけのもの。絶対に、逃がさないわ。

 そう心の中でつぶやいて、ルフィナは目の前にあるカミルの首筋にかぷりと噛みついた。



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