【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜

つがいの証

「――っ!!」

 ルフィナがカミルの首筋に歯を立てた瞬間、彼の身体が大きく震えた。
 そんなに強く嚙みついたつもりはなかったが、痛かったかと慌てて口を離すと、こちらを見るカミルと目が合った。その瞳はぎらぎらと輝いている。

「っルフィ、ナ……今の」

「ご、ごめんなさい……痛かった、ですか?」

「いや、最高に気持ち良くて……一瞬飛ぶかと思った」

「へ?」

 怒られるかと思ったが、カミルは笑顔だ。だがその顔はなんだか怖い。だって、目が笑っていないのだ。
 荒い息を吐きながら、カミルは低く唸る。その声は、どこか獅子の咆哮を思わせた。

「本当に……きみは予想外のことばかりだ。俺がどんなに必死で耐えてたと思うんだ……それをこんなにもあっさりと」

「あの、カミル様?」

「性交の最中に首を噛むことの意味を、きみは知っててそうしたの?」

 肩で息をしながら、カミルはルフィナの頬に触れる。その指先は、ゆっくりと首筋へと移動していった。そして、何度も確かめるように首筋を撫でる。

「えと、あの……つがいを抱く時に……逃がさないようにって」

「そう、その通りだ。だけど、一度そうしてしまえば獣人族はつがいを二度と手放さない。何があっても、誰に止められようとも、決して離れないほどの絆を結ぶ行為――それが、首を噛むということだ」

「嘘、そんなすごい意味のある行為だったなんて……」

 今更ながら、とんでもないことをしでかしてしまったことに気づく。ルフィナはカミルを手放したくないと思っているが、彼の気持ちを確認せずに一方的にそんな絆を結ぶのは良くない。
 どうしようと青ざめたルフィナを見て、カミルは大丈夫だと笑う。
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