【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 隣に座ったカミルが、ルフィナの肩を抱き寄せながら耳元で囁く。口調では怒ってみせたものの、本気で怒っているわけではないので、ルフィナは少しずつ毛布から顔を出した。

 ふと身じろぎすると胸元で小さな金属音が鳴り、ルフィナはネックレスをつけたままだったことに気づく。
 それを見れば思い出すのは、よく似たデザインのものを持っていたサラハのこと。

 カミルからもらったのだという彼女の言葉は嘘だと思っているけれど、屋台で買ったものとは違い、自分のネックレスは最高級の素材を使ったものなのだとサラハは笑っていた。
 確かに高級な品に見えたが、そんなお金をかけてまでルフィナを傷つけたかったのだろうか。もったいないことをするものだ。

「どうした?」

 ネックレスを見つめて黙りこくったルフィナを見て、カミルが首をかしげた。ルフィナは一度ネックレスを握りしめると、彼を見上げた。

「このネックレスとよく似たものを、サラハが持っていました。……カミル様からいただいた、と」

「そんなわけ……っ」

「えぇ、それは疑ってません。だって、リリベルの花は私にとっては大切なものだけど、サラハにとっては何の意味もないから。だけど、そんな嘘をつくほどに私はサラハに嫌われていたのかなって」

 ルフィナはため息をつく。アルデイルの人々は皆親切にしてくれていたので、まさか彼女がルフィナにこんなにも悪意を持っているとは信じられなかったのだ。今にして思えば、閨教育の途中から雲行きはあやしかったが。

「あいつは、かつて俺の婚約者候補として名前が挙がったことがあったんだ」

 言いにくそうな表情で、ぼそぼそとカミルが話し始めた。
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