【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
疑惑
身も心も結ばれてから、カミルの甘さには更に拍車がかかった。
それまでも何かと構ってくれてはいたが、最近は人目をはばからずルフィナに触れることが増えた。それは恐らく、カミルがルフィナを大切にし、愛していると周囲に印象づけるためでもあるのだろう。あれ以来サラハはルフィナの前にもカミルの前にも姿を見せないが、他にも似たようなことを考えて二人の間を裂こうとする者があらわれるかもしれないから。
「行ってらっしゃいませ、カミル様」
「うん。ルフィナは無理せず、ゆっくり休むように」
くしゃりと頭を撫でられて、ルフィナは微笑みながらうなずいた。
今日からカミルは隣国に行くことになっている。軍事演習を見学するのだそうで、さすがにそんな場への同伴は無理だろうとのカミルの配慮で、ルフィナはアルデイルで待つことになったのだ。
隣国に向かうのは国王夫妻とカミルで、アイーシャは城に残るという。ちなみに国王夫妻はどこに行くでも一緒なので、軍事演習のような荒っぽい場であっても王は妻を伴うらしい。
不在の期間は三日と聞いているが、カミルはそれでも離れ離れの期間が長すぎると不満げだ。おかげで昨晩は寝かせてもらえないほどに何度も抱かれ、ルフィナはベッドの上でカミルを見送ることになってしまった。
「部屋から出る時は、なるべくアイーシャと一緒に過ごすようにして。きみがひとりになると知って、サラハがまた何か企んでいるかもしれから」
「分かりました」
「本当は一緒に連れて行きたいくらいだけど……」
名残惜しそうにルフィナの髪に口づけたカミルは、大きなため息をつくと立ち上がった。
それまでも何かと構ってくれてはいたが、最近は人目をはばからずルフィナに触れることが増えた。それは恐らく、カミルがルフィナを大切にし、愛していると周囲に印象づけるためでもあるのだろう。あれ以来サラハはルフィナの前にもカミルの前にも姿を見せないが、他にも似たようなことを考えて二人の間を裂こうとする者があらわれるかもしれないから。
「行ってらっしゃいませ、カミル様」
「うん。ルフィナは無理せず、ゆっくり休むように」
くしゃりと頭を撫でられて、ルフィナは微笑みながらうなずいた。
今日からカミルは隣国に行くことになっている。軍事演習を見学するのだそうで、さすがにそんな場への同伴は無理だろうとのカミルの配慮で、ルフィナはアルデイルで待つことになったのだ。
隣国に向かうのは国王夫妻とカミルで、アイーシャは城に残るという。ちなみに国王夫妻はどこに行くでも一緒なので、軍事演習のような荒っぽい場であっても王は妻を伴うらしい。
不在の期間は三日と聞いているが、カミルはそれでも離れ離れの期間が長すぎると不満げだ。おかげで昨晩は寝かせてもらえないほどに何度も抱かれ、ルフィナはベッドの上でカミルを見送ることになってしまった。
「部屋から出る時は、なるべくアイーシャと一緒に過ごすようにして。きみがひとりになると知って、サラハがまた何か企んでいるかもしれから」
「分かりました」
「本当は一緒に連れて行きたいくらいだけど……」
名残惜しそうにルフィナの髪に口づけたカミルは、大きなため息をつくと立ち上がった。