【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜

尋問

 連れていかれた先は、牢だった。一応ルフィナの身分を考えてか、貴人用の牢と思われる。それでも殺風景な部屋の中には机と椅子以外には簡素なベッドしかないし、牢の内と外にそれぞれ見張りが立っている。
 ルフィナをここまで連れてきた男が尋問を担当するらしく、乱暴な仕草で目の前に座る。そして、まるで威圧するかのように机の上に身を乗り出した。

「さて、どうしてここに連れてこられたか、お分かりですよね」

 ぞんざいな口調で尋ねられ、ルフィナは唇を硬く引き結ぶ。きっとこの男も、強く出れば泣き出してすぐに自白するとでも思っているのだろう。残念ながら、ルフィナはそんなことで折れるほど弱い心は持っていない。

 ドレスの上からそっとネックレスに触れ、ルフィナはカミルを想う。身につけているだけで、彼がそばにいてくれるような気がする。それに『折れない心』というリリベルの花言葉があれば、負けることはない。

 一度目を閉じて心を落ち着かせると、ルフィナは男をまっすぐに見つめ返した。

「いいえ、何のことか全く分かりません」

「ふん、白々しい。こちらには証拠があるんですよ。だから反対だったんだ、国外の……それもほとんど交流のなかったホロウードとの政略結婚なんて」

 吐き捨てるように言った男は、机をバンと強く叩くとルフィナをにらむように見た。

「最初から、そのつもりだったんだろう。無害そうな見た目で油断させて、我が国を乗っ取るつもりだったのか」

「ですから、私には何の疚しいこともありませんし、心当たりもありません」
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