【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 このままでは、潔白を証明するどころかイライーダが傷つけられてしまう。彼らは、自分たちの望む答えを引き出すまで彼女を痛めつけるに違いない。
 どうすればいいのだと、ぼんやりする頭を必死に働かせていると、牢の外が急に騒がしくなった。何か叫ぶような声も聞こえて、何事かと眉を顰めた時、牢にカミルが飛び込んできた。

「……ルフィナ!!」

「カミル、さま」

 強く抱きしめられて、ルフィナの身体から力が抜ける。彼のぬくもりに包まれて、自分がどれほど身体をこわばらせていたのかを自覚した。

「殿下、お待ちください。その者は我が国に反逆を企てた疑いが……」

「ルフィナがそんなことをするはずがない」

 はっきりと言い切って、カミルはそのままルフィナを抱き上げた。

「ですが……」

「俺の妻を疑うということは、俺のことも反逆者とみなしていると受け取るが」

 低い声で言ってにらみつけるカミルに、男たちは慌てたように首を振った。

「アイーシャがルフィナに会わせろと何度も訴えていたのに、おまえたちはそれを受け入れなかったな。王女の命令をきけないほどの事情があったとでも言う気か?」

「は、反逆の疑いのある者を、アイーシャ様と接触させるわけにはいかないと……。それに、証拠があります。ホロウードの王太子に向けた手紙を見つけたのです。近況報告と見せかけ、中に我が国の軍事情報を忍ばせて……」

 男の言葉に、カミルはハッと鼻で笑った。そして嘲るように男を見下ろす。
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