【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 国王の問いに、騎士団長はもちろんとうなずく。封筒の中に入っていたのは三枚の紙。二枚はルフィナからヴァルラムへ向けた近況報告の手紙だった。崩した読みにくい字で、アルデイルに来てから問題なく過ごしていることや、兄をはじめとした家族の体調を気遣う文言が並んでいる。

 そして最後の一枚は、アルデイルの軍事力に関するメモだった。アルデイルが国の各地に配備している基地の名称と位置などが書かれているようだ。ルフィナにとっては初めて知る情報ばかりだったが、それが他国に渡れば問題があることは理解できる。
 王も同じことを考えたのだろう、メモを見るその表情は先程より更に厳しい。

「確かにこれを外部に流出させた人物は、我が国への反逆を企てていると考えてもおかしくないな」

 つぶやいた王は、静かな目でルフィナを見据えた。

「そなたの言い分があれば、聞こう」

「父上、ルフィナは」

「おまえには尋ねていない、カミル。黙っていなさい」

 声をあげようとしたカミルを低い声で制止すると、王は再びルフィナを見る。ルフィナは姿勢を正し、一度唾を飲み込むと口を開いた。

「私には、覚えのないことです。その手紙も、私が書いたものではありません」

「それを証明する術はあるか?」

「……証明、と言えるかどうかは分かりませんが」

 一度言葉を切ってルフィナはうつむき、決心したように顔を上げた。

「恥ずかしながら、私の母は平民です。父であるホロウード国王と村娘の間に産まれた子が、私です。王と王妃の間に産まれた私の兄、王太子ヴァルラムは私のことを卑しい生まれだと蔑んでいました」
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