【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 獣人の国として知られるアルデイルは、ホロウードとはこれまで全く交流がなかった。常日頃からヴァルラムは、獣人は野蛮だと口にしており、そんな国にルフィナを嫁がせるのは間違いなく嫌がらせだろう。

 もちろんルフィナに拒否権などあるわけもなく、黙ってそれを受け入れた。もともと幸せな結婚など望める立場ではないし、もうひとつの候補は三十以上も年の離れた大臣の後妻だったから、年の近いアルデイルの王子の方で良かったとすら思えた。

「アルデイルの王子は、獅子の獣人だそうだ。相手の機嫌を損ねたら、おまえなど頭から食われるかもしれないな」

 そう言ってヴァルラムは、何度もルフィナを脅した。怯えた顔をしてみせれば、彼は満足げに笑う。


 兄の前では、望まぬ結婚に意気消沈した顔をしていたが、内心ルフィナはアルデイルに嫁ぐことを楽しみにしていた。だって、もふもふの耳や尻尾が生えているなんてとっても可愛いではないか。

――獅子の獣人のほかには、どんな人がいるのかしら。できれば耳や尻尾を、触らせてもらえるといいのだけど。とっても楽しみ……!

 こっそり集めているぬいぐるみに、手触りが似ているといいなぁなどと思いながら、ルフィナはまだ見ぬ獣人の王子へ思いを馳せていた。

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