【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
獣人王子と妖精姫
今日の夜会は、ルフィナとアルデイルのカミル王子との顔合わせと婚約発表の場を兼ねている。初めて会う相手とすぐに婚約だなんてとも思うけれど、ヴァルラムに逆らうことはできない。ホロウードで採れる希少な鉱石を優先的に輸出するという条件に、アルデイルは大喜びで飛びついたというから、あちらも欲しいのは鉱石で、ルフィナはおまけなのだろう。
「姫様、ヴァルラム殿下がお呼びです」
侍女に声をかけられ、ルフィナはうなずいて立ち上がった。いよいよ、カミル王子と対面することになる。
隣室で兄と会談しているはずのカミル王子は、どんな人なのだろう。
どきどきといつもより速い鼓動を落ち着かせるように胸に手を当てて、ルフィナはちらりと鏡をのぞき込んだ。
淡い金色のドレスはふんわりと広がったデザインで、ルフィナの可憐さを最大限に引き立てている。毛先をふわふわと散らして結った髪には小さな宝石をふんだんに使った髪飾りが添えてあり、動くたびに繊細な輝きを放つ。あまり派手に装うことは好きではないのだが、今日は大事な日。兄の指示通り、ルフィナは「ホロウードの妖精姫」に相応しい装いをしているのだ。
「本当におまえは、見てくれだけは上等だな。それを活かせる機会がようやく来たんだ、せいぜいあの獣人に媚びてみせろよ」
隣室に続く扉が開くと、出迎えるようにそこに立っていたヴァルラムがルフィナの姿を確認して小声で吐き捨てる。彼は、こんな時でも何か言わずにはいられないらしい。ルフィナはそれを黙って微笑みで受け流す。
「お待たせしました、カミル殿下。こちらが我が妹、ルフィナです」
「姫様、ヴァルラム殿下がお呼びです」
侍女に声をかけられ、ルフィナはうなずいて立ち上がった。いよいよ、カミル王子と対面することになる。
隣室で兄と会談しているはずのカミル王子は、どんな人なのだろう。
どきどきといつもより速い鼓動を落ち着かせるように胸に手を当てて、ルフィナはちらりと鏡をのぞき込んだ。
淡い金色のドレスはふんわりと広がったデザインで、ルフィナの可憐さを最大限に引き立てている。毛先をふわふわと散らして結った髪には小さな宝石をふんだんに使った髪飾りが添えてあり、動くたびに繊細な輝きを放つ。あまり派手に装うことは好きではないのだが、今日は大事な日。兄の指示通り、ルフィナは「ホロウードの妖精姫」に相応しい装いをしているのだ。
「本当におまえは、見てくれだけは上等だな。それを活かせる機会がようやく来たんだ、せいぜいあの獣人に媚びてみせろよ」
隣室に続く扉が開くと、出迎えるようにそこに立っていたヴァルラムがルフィナの姿を確認して小声で吐き捨てる。彼は、こんな時でも何か言わずにはいられないらしい。ルフィナはそれを黙って微笑みで受け流す。
「お待たせしました、カミル殿下。こちらが我が妹、ルフィナです」