【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜

【書籍化記念番外編】大好きな花

「ルフィナ、今日は庭でお茶を飲まないか?」
「えぇ、嬉しいです」
 カミルの誘いに、ルフィナは大きくうなずいた。一緒にいられるならどこで過ごしても楽しいけれど、庭でのお茶会は二人にとって少しだけ特別だ。
 反逆罪の疑いをかけられたり、カミルの髪についていたアルゥの花びらのせいで彼を拒絶してしまったりと、ルフィナは庭で過ごすことにはあまりいい思い出がなかった。だけどカミルが、そんな嫌な思い出を忘れさせるように何度もお茶会を開いてくれたおかげで、庭でお茶をすることを楽しみに思えるようになったのだ。
 
 二人で庭の四阿に向かうと、侍女のイライーダがすでに準備を整えてくれていた。
 彼女に礼を言って下がらせると、カミルと二人きりになる。
 紅茶を楽しみながらお気に入りのチョコレートを食べ、些細なことで笑いあう。それだけで、ルフィナはしみじみと幸せな気持ちになれた。
「お茶のおかわりを?」
 カミルのカップが空になっていることに気づいて、ルフィナはポットに手を伸ばす。だが、カミルは首を横に振るとルフィナの手を握りしめた。
「いや、もう大丈夫だ。それより、ルフィナに見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの? なんでしょう」
「まだ秘密」
 くすくすと笑って、カミルがルフィナの身体を抱き寄せる。あたたかな腕の中に包まれて幸せな気持ちになっていると、カミルがルフィナの目元を覆うように布を巻きつけた。恐らくスカーフのようなものだろうと思うが、何も見えなくなって戸惑ってしまう。
 それでも、カミルがルフィナに酷いことをするわけがないと信じているので、黙ってそのまま身を任せた。
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