【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「少し移動するから、そのままじっとしていて」
 カミルが耳元で囁き、ルフィナの身体を抱き上げた。どこへ行くのだろうと思いつつも、ルフィナはしっかりとカミルの首筋に抱きついた。
 四阿を出たカミルは、そのまま迷いのない足取りで歩き始める。あまり方向感覚のないルフィナは、彼がどこへ向かっているのか全く分からない。
 しばらく歩いたあと、カミルは着いたと声をかけてルフィナを下ろしてくれた。草花の匂いを感じたので、行き先はどうやら温室だったらしい。
「目隠しは、そのままで。こっちにおいで。うしろに椅子があるから、腰を下ろして」
「温室に、なにがあるんですか?」
 カミルの声がする方に顔を向けて尋ねると、唇に指が押し当てられた。きっと、まだ秘密ということなのだろう。
「今から目隠しを取るから、三つ数えたら目を開けて」
「はい」
 ルフィナの背後に回ったらしいカミルが、目元を覆っていた布を外してくれる。彼の言葉に従って、ルフィナは目を閉じたままじっと待つ。
「3,2,1……いいよ」
 ゆっくりと目を開けたルフィナは、目の前にあるものに気づいて大きく息をのんだ。
< 163 / 166 >

この作品をシェア

pagetop