【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜

はじめてのデート

 アルデイルの国王夫妻との朝食を終えたルフィナは、カミルの妹姫であるアイーシャに誘われて彼女の部屋でのんびりと過ごしていた。

 ルフィナとは違って兄妹の仲は良く、ずっと姉が欲しかったのだとアイーシャは嬉しそうに微笑む。国王夫妻もルフィナをあたたかく歓迎してくれているし、家族仲が良いのは素敵なことだなとルフィナも幸せな気持ちになれた。

「お義姉様は、本当に綺麗ね。ふわふわのこの髪も、まるで花のような美しい色だわ」

 ルフィナの髪を結いながら、アイーシャがうっとりとつぶやく。彼女の髪は顎下で切り揃えた長さなので、ほとんど髪を結ったことがないらしい。自分の髪は長いと鬱陶しいから短くしているけれど、誰かの髪を結って遊ぶのは大好きなのだという。交換条件に耳を撫でさせてくれると言われて、ルフィナが断れるはずもなかった。

「アイーシャの耳だってふわふわで可愛いし、ご両親とお揃いの金の髪も瞳も、とっても素敵よ」

「うちは家族皆同じ色なのよね。だからこそお義姉様の色に憧れちゃうんだわ。もしかしたらお兄様とお義姉様の子は、こんな綺麗な髪色をしているかもしれないわね。すごく楽しみ」

 アイーシャの言葉に、ルフィナはさりげなく自分のお腹を撫でる。カミルとの子がここにいるかもしれないと思うと、胸がそわそわするような気持ちになる。それが喜びなのか、使命を成し遂げた達成感からくるものなのか、ルフィナにもよく分からないのだけど。

「できたわ、どうかしら」

 そんなアイーシャの声に顔を上げると、彼女が鏡を差し出していた。髪を結うのが終わったらしい。
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