【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「ささやかですが、結婚のお祝いに。おめでとうございます、カミル様、ルフィナ様」

「まぁ……素敵、ありがとうございます」

 目の前のグラスを見て、ルフィナは顔を綻ばせた。ぷくぷくと小さな泡を浮かべる金色の炭酸水の底には小さな砂糖菓子が沈み、水面には薄紫の花びらが浮いている。二人の髪色をあらわしたようなその飲み物を見ていると、思わず笑い出したくなるほどの幸せに襲われた。

 この飲み物は、祝い事の際に飲むものなのだとカミルが説明してくれる。底に沈んだ砂糖菓子はアルデイルで縁起物とされる四葉の形をしていて、溶かして飲むと幸せが約束されるのだという。口の中で泡と一緒に弾けた甘い味は、今のルフィナの気分にぴったりだった。

 しばらくして運ばれてきた料理は今まで見たことのないもので、ルフィナは思わず目を見張った。
 皿の上には薄く切られた透き通った魚の身が綺麗に並べられている。色鮮やかな野菜が飾られていて、見た目も華やかだ。

「ここは海が近いから、新鮮な魚をこうして生で食べることができるんだ」

「生で食べるお魚は初めてです!」

 ルフィナが初めて食べる料理であることを気遣ってか、カミルが先に料理を食べ始めた。それを見て、ルフィナも皿に手を伸ばす。
 ホロウードで食べたことのある魚料理は火を通したものばかりで、生の魚を食べたことはなかった。恐る恐る口にしてみたが、思った以上に食感が良く、甘みのある味もとても好みだった。

「美味しい」
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