【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 頬を押さえてルフィナはため息をつく。今夜こそはと期待して待っているのに、大量の書類を抱えたカミルを見れば、抱いてほしいと言い出すことなんて我儘に思えてしまう。一度子作りは義務だと迫ってみたが、そこまで焦る必要はないと諭されてしまえば、それ以上強く言うことなんてできなかった。
 日中は何かとルフィナを構ってくれるし、優しく甘い微笑みを向けてくれる。だけど夜だけは、彼はルフィナとの距離を縮めてくれないのだ。

「何とかしたいんだけど、いい案はないかしら……」

「一度、アルデイルの閨教育を受けてみてはいかがです? 国が変われば閨の作法も多少違うかもしれません。アルデイルの殿方がどのようなことを喜ぶのか知っておくのは、いいことだと思いますよ」

 イライーダの提案に、ルフィナは目を輝かせた。

「そうよ、閨教育! ありがとう、イライーダ。そうよね、身体のつくりはほとんど同じとはいえ、違いがあるかもしれないもの。このあとお義母様とお茶会なの。さっそく頼んでみるわ」

 王妃であるカミルの母親も、嫁いできたからには閨の教育を受けているはずだ。王家のしきたりもあるかもしれないし、初夜の前に閨の教育を受けたいと申し出ておけばよかったなと思いつつ、ルフィナは義母とのお茶会に張り切って向かった。

 ◇

「閨教育?」

 飲んでいたお茶を噴きそうな勢いで、王妃が目を丸くする。ルフィナはこくりとうなずいた。

「本来ならば、初夜の前に申し出るべきことだったと思うのですが、今からでも受講させていただきたいのです」

「それは……構わないけど、どうしてまた急に」
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