【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 首をかしげる王妃は、カミルの母親だということが信じられないほどに若く、美しい。狐獣人だという彼女のキリっとした三角の耳には、王と揃いの黄金のピアスが輝いている。

「先日ご報告いたしました通り、私はまだカミル様のお子を宿すことができておりません。閨の教育で、子を授かるための手技をあらためて学び直したく思っております」

「そんな、思い詰めなくてもいいのよ。子は天からの授かりものだもの。それに結婚したばかりのあなたたちに、すぐに子供を望むような真似はしないわ。二人きりの時間だって、大切にして欲しいのよ」

 王妃は困ったように眉尻を下げる。月のものがきて、子ができていなかったことを報告した際も、彼女は気にすることないと笑ってくれた。その優しさは嬉しいけれど、それに甘えてはならないとルフィナは拳を握りしめる。

「お気遣いいただき、ありがとうございます。ですが、できることは何でもしておきたいのです。あとで後悔はしたくないですから」

「まぁ、あなたが望むなら……。閨教育の担当をつけるよう手配するけれど」

「ありがとうございます、お義母様!」

 満面の笑みでうなずいたルフィナを見て、王妃は苦笑しつつもうなずいた。

「でも、本当に思い詰めないでね。子供ができるかどうかは、誰にも分からないことなのだから。あなたとカミルの子ならきっと間違いなく可愛いでしょうけど、世継ぎとか祖国に申し訳が立たないとか、そういったことを考える必要はないんだからね」

「はい」

 微笑んでうなずきながらも、ルフィナは頭のどこかで兄のヴァルラムの言葉を思い出していた。
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