【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 サラハの問いに、ルフィナは小さく首をかしげて考え込む。

「そうね……。私、アルデイルに来るまで獣人族のことをよく知らなかったの。だから、まずは一般的な性行為の仕方について一から学びたいわ」

「えぇと、ルフィナ様はカミル殿下とその……初夜を終えられているのでは?」

「それはそうなんだけど、あのね……、実はそれ以降、まだカミル様に抱いていただいていないの」

 恥を忍んで声をひそめて打ち明けたルフィナを見て、サラハは大きな黒い目を見開いた。驚いたように何度かぱちぱちと瞬きをしたあと、彼女はにっこりと笑みを浮かべる。

「では、再びカミル様に抱いていただきたいと、そういうことですね」

「えぇ、そうね。そうなるかしら」

「かしこまりました。では、初夜の場でお二人がどのようなことをなさったのか、お聞かせくださいますか?」

「え……っと、それは」

 ルフィナは思わず言葉に詰まる。だって、初夜のことは二人きりの秘密にしようとカミルと約束したのだ。勝手に他人に話すことなんてできない。

「ごめんなさい、初夜でのことは……あの、誰にも口外しないようにとカミル様に言われているの」

「ですが、閨での悩み事を解決するのもわたくしの仕事です。お聞かせいただかないとルフィナ様がどのようなことで悩まれているか、助言のしようもありませんわ」

 身を乗り出したサラハは、ルフィナの手を優しく握りしめた。その瞬間、ふわりと甘い香りが漂う。
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