【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「だ、だめだった……?」

 うかがうようにサラハを見上げると、彼女は眉を下げつつうなずいた。

「獅子獣人は高貴でプライドが高いのです。組み敷かれることを屈辱と捉えます。ルフィナ様は受け身で殿下の行動にお任せするべきでしたね」

「……っ私、とんでもないことをしてしまったのね。カミル様が気分を害されるのは当然だわ」

 これ以上ないほどに落ち込んで、ルフィナは再びうつむく。思い返してみれば、カミルがルフィナに何度も制止の声をあげていた。本来ならその場で不敬だと切り捨てられていたかもしれないのに、そうしなかったのはきっとカミルの優しさだ。

「どうすればいいの、今から私にできることはあるのかしら。まずはカミル様にちゃんと謝罪しなければならないわね」

 落ち込みつつもできることからしていこうと考えて、ルフィナは顔を上げる。落ち込んで後悔ばかりしていても、何も生まれない。少しでも状況を改善するために、何をすればいいか考えなければ。

 そんなルフィナを見て、サラハはゆっくりと首を振った。

「謝罪は、やめておいたほうがいいでしょう」

 その言葉に、ルフィナは首をかしげる。彼女は困ったように頬に手を当てつつ、ゆっくりと口を開く。

「組み敷かれたという事実は、カミル殿下にとって辱められたという記憶です。謝罪することで、その忌まわしい記憶を再び蘇らせることになってしまいますから」

「そう……ね、カミル様にとっては思い出したくもない出来事だもの。これからの行動で挽回するしかないということね」

 ため息をつきつつ、ルフィナはうなずいた。
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