【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「あら、ホロウードにはない習慣ですか? アルデイルでは、閨の担当者が王家の方々をお慰めすることになっているのです。獅子獣人はとても性欲が強いですから。特にルフィナ様は人族でらっしゃるし、体力的にも獣人に劣るでしょう」

「でも、そんなのって……」

「あぁ、ご安心ください。殿下が望まれない限りは、口でのご奉仕にて務めさせていただきますから。万が一、殿下の子種をいただくようなことになったら、お世継ぎ問題にも発展しかねませんもの」

 にこやかに告げるサラハの表情に一切の曇りはなく、当然のことと考えているようだ。カミルが他の女性を抱くよりはいいと、受け入れるべきなのだろうか。

 そういえば、初夜に口淫を拒否されたことをルフィナは思い出す。

「そうそう、ルフィナ様が口での奉仕を申し出られたことも、間違いのひとつですわ」

 まるでルフィナの頭の中を読んだように、サラハが指をまた立てた。

「そう、なの?」

「基本的には、閨の担当がお慰めする際の方法ですもの。ホロウードからいらした大切な花嫁様に、そのような真似をさせられませんわ。殿下も、そうお考えになってルフィナ様をお止めになったのだと思います」

「あぁ、私ったら本当に色々とやらかしてしまったのね……。やっぱりもっとちゃんと閨のことをお勉強してきたら良かったわ」

 頭を抱えるルフィナの肩を、サラハは優しく抱いてくれた。甘い香りがいっそう濃くなる。

「わたくしの方からも、ルフィナ様のことをそれとなくお話しするようにいたしましょう。殿下も、ルフィナ様を嫌っているわけではないのですから」

「そうね。どうかお願いね、サラハ」
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