【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「もちろんです。わたくしは、ルフィナ様の閨の指導係であり、殿下の閨の担当ですもの。殿下とルフィナ様がうまくいくようにと祈っております」

 ルフィナの手を握って力強くそう言ってくれるサラハは、心からルフィナのことを心配してくれているようだ。優しく可愛らしいこの人になら、カミルのことを託してもいいのかもしれないと思い、ルフィナはうなずいた。少し胸の奥が疼くことには、気づかないふりをした。


 講義を終えてお茶を飲みながら雑談をしてみて、あらためてサラハは可愛らしい人だとルフィナは思う。真っ白な垂れ耳は彼女が身動きするたびに揺れて目が離せなくなるし、潤んで黒曜石のように輝く大きな丸い目に見つめられると、同性のルフィナでもドキドキしてしまうほどに愛らしい。

 サラハの身のこなしは洗練されて上品だと思っていたが、彼女の父親は城で要職についているらしい。閨の担当者は王族の相手をする関係上、一定の身分にある者しかなれないのだというから、サラハもそれなりの家の出なのだろう。

「そういえば、サラハはとってもいい香りがするわね。香水をつけているの?」

 ふと気になってたずねてみたら、サラハはにっこりと微笑んだ。軽く首をかしげて髪を耳にかける仕草が妖艶で、思わず目を奪われてしまう。

「これは、わたくしたち兎獣人に伝わるアルゥという木の花から作った香水なのです。兎獣人の女性は皆、耳にアルゥの香水をつけるのですよ」

 そう言ってサラハが軽く首を振ると、甘い香りがふわりと広がる。

「甘くてとても素敵な香りだわ。サラハの可愛らしい雰囲気にもよく似合っているわね」
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