【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 その説明は、カミルがルフィナに心を許していないと言っているも同然だったが、サラハはそれに気づいていないようだ。彼女の説明は止まることなく続いていく。

「敏感な場所ではありますが、殿下は尻尾の付け根を撫でられることがお好きです。力加減は羽のようにそっと、握る時は力を込め過ぎずに優しく上下に擦るようにすると、とても快楽を得ておられるようです」

「……サラハは、カミル様の尻尾に触れたことがあるのね」

 思わずぽつりと漏れた言葉に、サラハがハッとしたように口をつぐんだ。だがその顔にはすぐ、にっこりとした笑みが浮かぶ。

「わたくしは、殿下の閨の担当ですもの。殿下が快楽を感じる箇所を把握しているのは当然のことです。それをルフィナ様にお伝えすることで、お二人が真に結ばれることをわたくしも願っているのですよ」

「そう、ね」

「ルフィナ様、そんな顔をしないでくださいませ。わたくしも、閨の担当としての職務に励むことが申し訳なくなってしまいますわ」

 悲しげに眉を下げるサラハを見て、ルフィナはうつむいた。閨の担当なんて要らないと、言い切ることができたらどんなにいいだろう。だけど、初夜以来ルフィナを抱こうとしないカミルは、きっと欲を溜め込んでいるはずだ。それを解消するのがサラハの仕事。彼女は真面目に職務に向き合っているだけなのだ。
 一度強く唇を噛みしめると、ルフィナは顔を上げた。

「ごめんなさい、サラハ。今日のところはもうおしまいにしてくれるかしら。少し疲れてしまったみたい」

「承知いたしました。次回はどうなさいますか?」

「次回は……」
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