【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 それはありがたいことでもあり、どこか寂しいものでもある。だって、彼にとってルフィナはその程度の存在なのだと思い知らされるから。先日サラハが言った、尻尾に触れさせるのは心を許した相手だけだという言葉が、頭の中にずっと残っている。いつになれば彼はルフィナに心を許し、抱いてくれるのだろう。

 重たい心を少しでも軽くしたくて、ルフィナは宝石箱の中からネックレスを取り出した。そっと身につけると、リリベルの花が胸元で揺れる。やっぱり表に出しておくのは気が引けて、見えないようドレスの中にしまい込んだが、それでも勇気をもらえる気がする。確かめるように服の上からネックレスを握りしめて、ルフィナは唇を引き結んだ。


 いつものように定刻通り訪ねてきたサラハを迎え、本日の講義が始まる。彼女の身体から香る甘い匂いをあまり嗅がないよう努力しながら、ルフィナは気持ちを引き締めてソファへと座った。

「本日は、手を使って殿下のものを高める練習をいたしましょう」

 そう言ってサラハがテーブルの上に置いたのは、なめらかな水晶でできた張り型と香油の入った小瓶。ホロウードで勉強の際に何度か見たものより大きいのは、カミルのサイズに合わせたものなのだろうか。一度だけ目にした彼の昂りを、ルフィナはぼんやりと思い出す。

「たっぷりと香油を手に纏わせ、こう根元からゆっくりと握りしめて――」

 説明をしながら、サラハのほっそりとした手が妖艶に張り型に絡む。その手つきは慣れていて、こうやってカミルにも触れたのだろうかと嫌でも考えてしまう。
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