【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「以前に一緒にお出かけをした時、記念にって買ってくださったの。私にとっては、値段なんて関係ないわ。カミル様の気持ちが嬉しかったから」

「そうですね。殿下のお気持ちのこもったネックレス、素敵です」

 目を細めて笑うサラハに、ルフィナも笑ってうなずいた。だけど何度か確認するようにサラハの視線がネックレスに向けられることが落ち着かなくて、ルフィナは守るように胸元に手をやった。


 次回の約束をしたところで、サラハがそういえばとつぶやいて姿勢を正した。何か重要な話だろうかと、ルフィナも少し気持ちを引き締める。

「わたくしったら、うっかりしていましたわ。獣人族にとっては当たり前のことすぎて、人族でらっしゃるルフィナ様がご存知ないことに思い至らなくて」

 頬に手を当ててため息をつくサラハに、ルフィナは眉を顰めた。種族の違いに関する重要事項が何かあるらしい。

「何の話?」

 教えて欲しいと促すと、サラハは言葉を選ぶように慎重な口調で話し始めた。

「あの、人族にはない概念かと思うのですが、わたくしたち獣人族にはつがい、というものがあります」

「つがい……。一生にただ一人だけの相手、ということかしら」

「簡単に言うとそうですね。ですが、わたくしたちにとってつがいとは、どんな手を使っても抗えないほどに激しく深い結びつきです。一度つがいと認めた相手に対する執着はすさまじく、たとえ王命であってもひっくり返すことのできないほどの強い想いなのです」

 そこまで言ったあと、サラハは言い淀むように視線を落ち着きなく動かした。しばらく躊躇ったあと、彼女は思いきったように口を開く。
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