【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
「大変恐れながら、ルフィナ様は殿下のつがいではない――と申し上げるしかない状況です」

「……っ」

 静かな口調でそう言われて、ルフィナは思わず息を詰める。確かにカミルは、ルフィナに執着しているとは言い難い。政略結婚で結ばれた相手なのだ、つがいになれるはずもない。

「そう……かも、しれないわね」

 かろうじて絞り出した声に、サラハは眉を下げた表情でうなずく。だが、微かに口角が上がって見えるのは気のせいだろうか。

「獅子獣人は特につがいの絆が深いと言われているのです。ルフィナ様もご存知かと思いますが、国王陛下は王妃であるサーナ様をそれはそれは大切にしておられます。ご公務の際も、いつも一緒にお出かけになりますし、お二方の耳に輝く揃いのピアスはその仲睦まじさをよくあらわしています。一方で、カミル殿下からの執着をあまり感じないことは、ルフィナ様も理解されているかと思います」

 サラハの言葉が胸に刺さるようだが、その通りだ。カミルはルフィナに執着しているとは思えない。それはきっと、ルフィナが彼のつがいではないからだ。

「私では、カミル様のつがいには……なれないのかしら」

 思わずつぶやくと、サラハは困ったように眉を顰めた。

「ルフィナ様は人族、殿下は獅子獣人です。今まで人族とつがいになった獣人族を、わたくしは存じ上げておりませんので何とも……」

「そうしたら、カミル様には別の方がつがいになるのかしら。その方を妻としてお迎えになるかしら。抱いてもいただけない私は、必要ないと言われてしまうのかしら」
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