【電子書籍化】初夜に「きみを愛すことはできない」と言われたので、こちらから押し倒してみました。 〜妖精姫は、獣人王子のつがいになりたい〜
 淡々とした口調でつぶやくルフィナを見て、サラハは慌てたように手を握った。その瞬間ふわりと漂う甘い香りに、ルフィナは一瞬だけ眉を顰める。

「今はまだ分かりませんわ。殿下はきっと、心に決めた方がいたとしてもルフィナ様のことも大切にしてくださいます。それに、抱いていただいたことでつがいとなる可能性だってございますわ。そのためにわたくしとこうしてお勉強されているのですから」

「そうね」

 うなずきながら、ルフィナはぼんやりと窓の外を見つめた。

 きっと、離縁することはないだろう。この結婚は国家間の約束でもあるのだ。カミルに他に想う人がいるからといって、ルフィナをホロウードに追い返すわけにはいかないのだ。
 だけど、カミルが誰かを優しく見つめる様子を、そばで見ることにはなるのかもしれない。
 そんな日が来たら、今以上に笑えなくなるかもしれないなと、ルフィナは思った。

< 78 / 166 >

この作品をシェア

pagetop